Topics 棹のお手入れについて

Topics 棹のお手入れについて

三味線の仕上げは大きく分けて3種類の方法がございます。

・オイル仕上げ:表面に不乾性油を浸透させる仕上げ

・漆仕上げ:表面に天然漆を塗布する仕上げ

・塗装仕上げ:工芸漆や化学塗料による仕上げ

当社の標準的な製品は棹にはオイル仕上げを、胴には漆仕上げを行っております。

オイル仕上げの三味線は不乾性油(固まらない油)を表面に浸透されることで、木を保湿し乾燥による割れを予防しています。浸透させたオイルは経年や使用によって抜けていくため、定期的な油の塗布を行うことでより長くお使いいただけます。

オイル仕上げ・漆仕上げの三味線には、半年から一年に一度のオイルの塗布を推奨しております。

塗布するオイルには以下の条件に当てはまるものを推奨しております。

・植物性のもの

・アルコール成分の入っていないもの

・不乾性油

具体的にはオリーブオイルや椿油がご使用いただけます。(当社では椿油を使用しております。)

サラダ油もご使用いただけますが、塗布後にべたつきが残る場合がございます。

オイルを塗布する場所は、手や指かけでこすれる部分です。具体的には、上駒より下の上棹・中棹・下棹の表面(磨いてある部分)となります。

塗布してはいけない場所は「糸巻と金具の接点」「継手の溝部分」「皮とその周辺部」です。

その他天神の月型部分などにもご使用いただけます。

一連の作業を行うにあたって、三味線を分解する必要はございませんが、糸巻金具や皮などにオイルが触れないようにご注意ください。

事前準備としまして、塗布する部分の手垢やホコリなどの汚れを拭き取ってください。汚れは固く絞った濡れ布巾などで落とすことができます。この際、濡れ布巾が皮に触れると皮が剥がれる可能性がございますのでご注意ください。

<お手入れの手順>

1.  10cm四方の布を指で摘まめる大きさに折り、布先にオイルを適量浸けます。

2. 表面がべたつかない量を、木目に沿って引き延ばすようにオイルを塗布します。

3. 10分程度置いた後、乾いた布でよく拭き取ります。

4. 半日程度置いた後、べたつきが残るようでしたら再度拭きあげてください。

使用する布に汚れやホコリが付着していると、三味線を傷つけてしまうおそれがありますのでご注意ください。

・手垢の汚れを拭き取る際に、アルコールや除光液など溶剤のご使用はお止めください。

・継手内部や棹と胴の接合部にオイルを塗布すると摩擦が減り、はずれ易くなります。ご注意ください。

・化学塗料による仕上げを施した部分には、オイルは浸透しません。